世界を舞台に描く、IMAGICA GROUPの成長戦略| 代表取締役・長瀬俊二郎インタビュー【前編】
株式会社IMAGICA GROUPは、長瀬俊二郎が2024年4月1日付けで代表取締役社長に就任しました。
目まぐるしく変化する時代に、さらなる飛躍をめざすための経営トップの交代。社長就任にあたっての思い、新生IMAGICA GROUPの目指す方向性をお伝えします。
幅広い事業をグループの強みに
IMAGICA GROUPの柱は映像関連事業です。とはいえ、「映像の制作」だけにとどまらないのが、当社グループの大きな特長。出版、ゲーム制作、大学や企業などの研究機関に向けたハイスピードカメラの開発・製造・販売など映像の枠を超えた事業活動を展開しています。
多様で多角的な事業領域を有することは、幅広い市場で競争力を獲得することにつながります。さまざまな分野での知見は、新しいものを生み出し、飛躍するための土台ともなるはずです。事業会社間のシナジーも創出しています。
よく、当社グループを説明する時に「映像制作の会社です」といった説明をすることがあります。間違ってはいませんが、正解でもありません。当社グループの生い立ちをたどれば、源流は京都の染料屋、そこから化学薬品の卸売業者(現・長瀬産業株式会社)となり、米国のイーストマン・コダック社からフィルムの輸入販売を手掛けることがきっかけで、大きくピボットして映画フィルムの現像所を作りました。当時、多くの映画が制作される一方で、現像所が圧倒的に足りていなかった。そこにビジネスのチャンスがあると捉えたことから始まった会社で、その後はご存じの通り、映像編集や映像機材の輸入設置、CS/BS 放送、ハイスピードカメラ、字幕・吹替(ローカライズ)など、様々な周辺領域へ事業拡大をしていきました。ですから我々の原点はこうした事業意欲や、変化への対応能力にある、と考えています。時代のニーズを汲み取り、求められる事業を展開していく。これが、当社グループのあるべき姿、やるべきことではないか、と改めて思いを強くしています。
グローバル展開を加速させる
海外にもいくつもの拠点を持つことも、我々の特長です。とくにハリウッドの映像業界においては、Disney、ワーナー・ブラザースをはじめとしたメジャースタジオと極めて密接なパートナーシップを構築しており、E2E(End to End*)のローカライズ(字幕/吹替)から上映/配信サポートの市場において米国拠点のDeluxe Media Entertainmentと市場を二分しています。国内向けだけの展開では、どうしても市場規模も限られるため、グローバルへの展開は、当社の重要な戦略のひとつであり、今後も引き続き注力してまいります。
*E2Eサービス:End to End。映画・ドラマ・アニメーション等の映像コンテンツを制作するポストプロダクションから、それらを劇場、テレビ、インターネットを介した動画配信などあらゆるメディアで流通させるために必要な字幕・吹替(ローカライズ)、そして上映・配信(ディストリビューション)のためのメディアサービスまでをワンストップで提供するサービスの総称。
新しい価値を創造する企業へ
未来に目を向けると、IMAGICA GROUPは新しいものを生み出し、提案する企業への変革を遂げていかなければならない、と考えています。
現在の当社グループの事業を基盤にしながらも、より革新的で付加価値の高い事業を提供する方向に進化してく必要があると思うのです。
たとえば、1本のCM制作を請け負うときに、我々の提供する価値は「高品質な映像」だけでいいのか。そのCM映像を使って最終的にお客様が求めていること、成し遂げたいことは何かと考えれば、映像制作以外に提案できることがあるかもしれません。映像制作の領域においてのみならず、その先の最終ゴールまでをサポートする。クライアントのニーズに先んじたアイデアや技術を提案し、新しい価値を創造していくことが求められています。
そのために必要なのはコミュニケーションだと考えています。社員の皆さんに伝えたいことは、直接相対しているお客様だけでなく、エンドユーザーを意識して欲しいということ。お客様のその先にいるお客様のニーズを我々も汲み取り、本当に必要な施策を提案していくことが出来れば、映像に留まらず様々な提案が出来るはずです。
次回は、長瀬の経営哲学や想いをご紹介する予定です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事は2024年3月に実施したインタビューをもとに掲載しております。