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確かな基準で「AI時代に求められる人材」を育てる。 IMAGICA Lab.が描く「ポスプロの未来予想図」#2

ポストプロダクションのパイオニアとして、業界を牽引してきたIMAGICA Lab.。信頼の技術力を生む背景には、独自に構築してきた人材育成システムがあります。指名の絶えないプロフェッショナルは、いかに育成されるのか?  座談会2回目となる今回のテーマは、IMAGICA Lab.流のクリエイター育成法です。

第1回はこちらからどうぞ。


多様な案件から実地で学ぶ

座談会メンバー(写真左から)

菊田和弥(きくた かずや)/IMAGICA Lab. 経営管理本部 経営企画部 技術戦略担当 エグゼクティブスーパーバイザー

鈴木敬典(すずき たかのり)/IMAGICA Lab. TVプロダクション事業部 制作部 赤坂EDグループ課長補佐、エディター

久慈匡教(くじ まさのり)/IMAGICA Lab. TVプロダクション事業部 制作部 品川MAグループ課長、ミキサー

宍戸佑樹(ししど ゆうき)/IMAGICA Lab. CMプロダクション事業部 クリエイティブグループ エディター、コンポジター

――現場で働く皆さんが、IMAGICA Lab.の人材活用、人材育成で特徴的だと思われるのはどんなところですか?

鈴木:IMAGICA Lab.では、SNS用の広告動画から4K・8Kといった高精細の案件まで、幅広い映像制作を請け負っています。その幅広い案件のすべてにチャレンジできる選択肢があるというのが、まず大きな特徴だと思っています。

菊田:固定の担当媒体があるわけではなく、やる気さえあれば幅広い案件に挑戦できる。その分野の経験がなくてもできるというのは、IMAGICA Lab.の規模感があるからこそ、かもしれませんね。

鈴木:さまざまな現場を通じて先輩の仕事ぶりを見学できますし、未経験であってもやる気があれば実際の素材を使いながら、研修を受けることもできます。そうした経験を重ねることで、だんだんと先輩と一緒に作業に入れるようになっていくんです。

――普段の業務が、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)にもなっているんですね。

鈴木:そうですね。決められた育成ルートに乗るのではなく、選択できる仕組みになっているのもユニークですね。それがノウハウの伝承と、対応力のある人材の育成につながっている、と感じます。

実践さながらの試験で実力を評価

宍戸:実は明日、メイン試験があるんですよ。

一同:おおー!

――メイン試験とはなんでしょう?

宍戸:メインエディター、メインミキサーに昇格するための試験です。IMAGICA Lab.では一人前と認められる客観的な基準がしっかりあって、それを満たして初めてお客様の前に立てる。この試験制度は、IMAGICA Lab.独自のものですよね。うちのシステムを参考に、試験制度を取り入れていた同業他社もあると聞いています。

菊田:テレビでもCMでも試験制度は行われていて、メイン試験を受けられるレベルに達しているかどうかは、随時先輩がジャッジしています。

鈴木:アシスタントも1人の先輩に固定ではなく、いろんな人のアシスタントにつくんですね。それは、いろんな人のやり方を学ぶ機会になると同時に、多くの メインエディターの目で仕事ぶりをチェックしてもらえることにもつながる。実力がついてくると、「この子はそろそろメイン試験に挑戦してもいいね」という声が自然に集まってくる。機会はどんどん与えていきます。

――どんな試験なのか、気になります!

宍戸:CMの場合は、試写対応です。監督役、クライアント役がいるなかで作業を行い、完成した映像を流し、みんながそれぞれ意見を出し合います。それを逐次その場で修正し、完成させるまでの実技試験です。技術だけでなく、現場での対応力やコミュニケーション力も評価の対象です。クライアント役で他部署の方が協力してくださったりと、試験といえども実際の現場さながらの雰囲気です。

AI時代に求められる、クリエイターの「総合力」

お客様を「背負う」スタイルの編集室。

菊田:私は編集の実作業の経験は多くはありませんが、アシスタントとメインエディターが連携してテロップ入れの作業をしている様子を目の当たりにすると、ちょっと引くくらいのすごさがあります(笑)。

鈴木確かにスポーツに近いかもしれないですね。アシスタントがテロップ原稿の文字を入力し、色をつけたり、デザインをする。それをメインエディターが受け取って動きをつける。立ち会いのお客様から要望があれば、即座に修正する。この3人の高速ラリーみたいな感じです。1時間の番組で、使用されるテロップは数百枚。瞬時にクライアントのニーズを汲み取り、形にする力が必要です。

久慈:テレビのMA※の場合も、スピードが求められるケースは非常に多いです。編集作業が終わるのを待ち構えていて、即座に音声編集を行って。映像とパソコンに表示される音声の波形を見ながら、「よし、ここで下げろ!」「ここはちょっと上げよう!」と一発で調整していくことも。MAの場合は、波形を見て「長いから音楽か」「短いから、これはテロップの音響効果だな」といったことがわかるようになると、メインミキサーになれます(笑)。

※MA…Multi Audio(マルチオーディオ)の略。編集後の映像にセリフ、効果音、音楽を加え、それらの音をバランスよく調整する業務

宍戸:以前、煙がぽん!と出てシーンが切り替わるアニメーションを制作していたとき、その「ぽん!」という効果音だけで何十個と探したことがあって。みんなの頭のなかにある「ぽん」のイメージに合う音が、全然見つからないわけです。それでMA室にいったら、一発で「これですね」と。「そうです、これですー!」って、僕もクライアントさんも感動した経験があります。

――たくさんの引き出しを持っていて、瞬時に最適なものを取り出してくれる。

久慈:それは間違いなく経験によるものですね。自分自身のストックとして、知識を蓄積していくことが重要。そう考えると、さまざまな案件を経験できるIMAGICA Lab.のシステムは、引き出しを増やすという点でも優れているかな、と思います。

菊田ポスプロのエディターやミキサーって、クリエイティブ職であると同時に、接客業でもあるんですよね。お客様が作業のすべてを見ているなかで、コミュニケーションをとりながら、的確に仕事を進めなければならない。ニーズを汲み取る力、予測する力、コミュニケーション力、もちろん高い技術、作業スピード……AIに代替されない人材を育成するためには、こうした総合力を鍛えることがますます重要になるだろうと考えています。


次回は、映像制作におけるプロフェッショナルとアマチュアの違いについて考えます。どうぞお楽しみに!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

本記事は2024年1月に実施したインタビューをもとに掲載しております。


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