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中継映像は筋書きのないドラマ。90分の縦軸に横軸のストーリーを加えて演出

クリエイティブとテクノロジーで幅広い映像事業を展開するIMAGICA GROUP。実は、Jリーグのサポーティングカンパニーであり、Jリーグの試合の中継制作を支えています。

この中継映像の制作および配信の中心となっているのが、イマジカ・ライヴ。グループ会社であるコスモ・スペースフォトロンと連携し、J3リーグで戦う「アスルクラロ沼津」のホームゲームの中継制作と配信を担当しています。

この3社が集まり、前回は、Jリーグの中継制作・配信の各社の役割と舞台裏を語りました。今回は、サッカー中継映像制作にかける想いを語ります。

アスルクラロ沼津のスタジアムの中継映像制作を元に、IMAGICA GROUPのスタッフの役割をイラストで表してみました。

今回お話を聞いたのは…

近澤貢希(ちかざわ・こうき)/ 株式会社イマジカ・ライヴ スポーツ・メディア本部 中継制作部。2014年に東京のテレビ局でスポーツ中継のアシスタントディレクター・ディレクターとして勤務。2017年より、Jリーグで中継制作や映像販売関連や他競技団体などを担当。2020年にイマジカ・ライヴに入社。現在、スポーツ中継の制作・配信やコンテンツ制作やコンサートライブの制作・配信などを担当。

田中庸介(たなか・ようすけ)/ 株式会社コスモ・スペース 制作技術本部 テクニカルプロデュースグループ。 学生時代に映画演出を学び、1997年にアーティストのPV制作・CM制作業務を行う竹内芸能企画に入社。その後、地方テレビ局での情報番組、パブリシティ、スポーツ中継などの制作を経て、2019年にコスモ・スペース入社。現在、J3アスルクラロ沼津をはじめとするスポーツ中継のディレクター、IMAGICAエンタテインメントメディアサービス制作コンテンツの編集などを担当。

現場のプロフェッショナル! コスモ・スペースが大切にしていること
試合の90分間すべて、視聴者をいかにハラハラ・ドキドキさせ続けられるか

アスルクラロ沼津の試合映像を制作するコスモ・スペースの中継車

試合中にリアルタイムで中継映像の制作を行うコスモ・スペース。これまでJリーグをはじめ、さまざまなスポーツ中継を手がけてきた、まさに、スポーツ中継のプロ。そんなコスモ・スペースの中継映像制作へのこだわりとは!?

田中 中継映像制作の仕事内容は、本当に多岐に渡ります。90分の中継をお届けするために、ディレクターが事前にチーム状況などを調べ、実況用の台本を制作。前日に機材のセッティングを行い当日は3台(※)のカメラで試合を撮影。実際のピッチで試合状況を把握するフロアディレクター中継車で演出指示を行う、ディレクター、それを具現化するスイッチャー、CG担当、スロー担当、音声を担当するミキサーや、映像管理とシステム構築を行うビデオエンジニアなど、制作と技術スタッフが力を合わせて、中継映像の制作を行います。

※2023年J2、J3では、中継用のカメラが3台、J1では原則12台と、リーグによってカメラの台数が決まっている。

近澤 中継では、観客の声援やシュートを決めたときのゴールネットの音なども大切にしていますよね。ぼくは、『シュート時のボールがネットに当たった音は強めた方がいい』『お客さんの声の盛り上がりも聞かせたい』『実況の声が聞こえにくくならないように音を上げよう』など、リクエストし調整してもらっています。

フィールドに置かれたマイク。選手の息遣い、サポーターの歓声、ネットの音などを拾っている。

近澤 Jリーグの公式映像制作で求められることは、まずはミスなくJリーグの要望にきちんと沿って放送することです。そのなかで、いかに視聴者の方に中継を楽しんでもらうかがぼくらの役割だと捉えています。小さなお子さまからお年寄りまで、Jリーグやクラブ、ひいてはサッカーを好きになってもらえるよう、試合のおもしろさや競技の素晴らしさを届けていくことを大切にしています。筋書きがない というか、何が起こるかわからないところがスポーツの醍醐味だと思っていて、そんな臨場感も届けていきたいですね。

中継車のなかの様子

田中 ディレクターとしては、サッカーを観ている90分間、視聴者にずっとドキドキしてほしい、という思いで制作しています。ぼくは、90分の試合を“縦軸”と捉えているんですが、この縦軸の90分は、時間が経つと自然に終わってしまいます。当然この縦軸にもドラマはありますが、それとは別に、“横軸”があると思うんです。例えば今シーズン、J3のクラブは38試合を戦います。38試合のなかには、3連敗で迎える試合もあれば、5連勝して首位になる試合もありますよね。ケガをしていたエースが復帰する試合もあれば、新たなエースが生まれる試合もあります。その日の90分と重なる、その日にしかない“横軸”のストーリーを伝えることが、一番大事なことだと思うんです。縦軸のなかに、いかに横軸を差し込んでいくか。映像は、視聴者の想像力を借りて完成するものだと思っているので、90分の試合中継に横軸の情報を入れ、厚みを意識した中継制作を行っています

90分という縦軸に横軸のストーリーを上手く加えることで、視聴者の想像力を高めて、ドキドキしながら中継を楽しめるように工夫しているとコスモ・スペース 田中は語る。

近澤 Jリーグ公式映像制作のセオリーは“中立”ですが、それを崩さずにいかにおもしろく見せるか。中継映像には、まさにディレクターの“色”が出ると思います。ホーム寄りにもアウェイ寄りにもならず、いかに中立な立場で届けられるかを大きな骨組みにしつつ、中継映像は作られています。


中継映像一つにもディレクターや制作側のこだわりが詰まっています。
そんなことも頭の片隅に置いていただきながら、試合中継映像をお楽しみいただければ幸いです。

次回は、中継映像でサッカー試合の楽しみ方はどう変わってきたか。
個人のスーパープレイだけでなく、全体を俯瞰して戦術を楽しめるように変わったと語ります。お楽しみに。
最後までお読みいただきありがとうございました。





本記事は2023年6月に実施したインタビューをもとに掲載しております。最新情報とは一部異なる可能性もございます。

フォトロンは2024年4月1日付でイマジカ・ライヴを吸収合併し、イマジカ・ライヴの事業はフォトロンで継承いたします。これからも当社グループは「スポーツビジネス」領域での事業成長を推進し、スポーツ産業の発展に貢献してまいります。


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