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中継映像が日本のサッカーを強くする!?個人のスーパープレーだけでなく、全体を俯瞰し戦術も楽しめるように

クリエイティブとテクノロジーで幅広い映像事業を展開するIMAGICA GROUP。実は、Jリーグのサポーティングカンパニーであり、Jリーグの試合の中継制作を支えています。

この中継映像の制作および配信の中心となっているのが、イマジカ・ライヴ。グループ会社であるコスモ・スペースフォトロンと連携し、J3リーグで戦う「アスルクラロ沼津」のホームゲームの中継制作と配信を担当しています。

この3社が集まり、前回までは、Jリーグをはじめとするスポーツ中継制作・配信の各社の役割と舞台裏を語りました。連載最終となる今回は、サッカー中継映像制作はどう変わってきたのか、そしてどうなっていくのか...「過去」と「未来」を語ります。


今回お話を聞いたのは…

近澤貢希(ちかざわ・こうき)/ 株式会社イマジカ・ライヴ スポーツ・メディア本部 中継制作部。2014年に東京のテレビ局でスポーツ中継のアシスタントディレクター・ディレクターとして勤務。2017年より、Jリーグで中継制作や映像販売関連や他競技団体などを担当。2020年にイマジカ・ライヴに入社。現在、スポーツ中継の制作・配信やコンテンツ制作やコンサートライブの制作・配信などを担当。(写真中央)

田中庸介(たなか・ようすけ)/ 株式会社コスモ・スペース 制作技術本部 テクニカルプロデュースグループ。 学生時代に映画演出を学び、1997年にアーティストのPV制作・CM制作業務を行う竹内芸能企画に入社。その後、地方テレビ局での情報番組、パブリシティ、スポーツ中継などの制作を経て、2019年にコスモ・スペース入社。現在、J3アスルクラロ沼津をはじめとするスポーツ中継のディレクター、IMAGICAエンタテインメントメディアサービス制作コンテンツの編集などを担当。(写真左)

中山 力((なかやま・つとむ)/ 株式会社フォトロン。ライブプロダクション領域を主に担当し、中継車またはスタジオ設備事業に従事。現在、オンプレミスとクラウドサービスを利用した新規サービス事業開発を担当。(写真右)

フォトロンのシステムで中継映像がさらに進化
リアルタイムCGで、より“わかりやすく”視聴者にお届け

田中 実は、フォトロンのCGシステムのおかげで現場はすごく喜んでいるんですよ。

中山 ありがとうございます。フォトロンでクラウドサービスを構築したことによって、Jリーグの回線センターにリソースをシェアできるようになりました。制作現場の負担が減ったと聞いています。

田中 これまではとんでもなく重たく大きな機材を車に積んで沼津まで運んでいました。その必要がなくなったことでスタッフは喜んでいますし、演出側としては新しいCGの追加やデータのアップデートなど、スピード感が圧倒的に速くなったんですよね。

中山 システムの内容は、まだまだ改善していく予定です。例えば、デザイン面では、アニメーションの作り方によって、テロップが出てくるまでに時間が遅くなってしまいます。これは、クラウドでアニメーション生成しているため、タイムラグが発生しているから。伝えたい情報をタイムリーにグラフィックで出せるようにしていきたいと思っています。リアルタイムで最新のグラフィックやデータを出せるように、システムを改善していきたいですね。

中継映像に差し込まれるグラフィックもフォトロンのシステムが関係しています

近澤 サッカーでは、走行スピードや距離、ボールタッチの回数など、スタジアムであらゆるデータを計測しているのですが、例えばそのデータを連携させたCGのシステムを作っているのがフォトロンです。

中山 CGの内容や種類、スローのリプレイなどは、技術の進化によってどんどん表現が多彩になっています。世界のハイクオリティな中継映像に追いつけるよう、技術面とクリエイティブ面の双方で新しいシステムやサービスを提供していきたいと思っています。

J.League Operation Center(JLOC)の構築にイマジカ・ライヴ、フォトロンが協力しています。 

中継映像で日本のサッカーは強くなる!?
キャプテン翼からアオアシへ…
視聴者が試合を観ながら「戦術」も語れる中継映像づくりを目指す

近澤 Jリーグをはじめとするスポーツ中継制作は、高品質で低価格というニーズが増えてくると思います。ぼくらは、Jリーグをはじめとして、放送局や制作会社などのお客様に対し、試合映像を軸にさまざまな提案をしていきたいと考えています。IMAGICA GROUPのグル-プ各社とディスカッションをしながら、より良いものを作っていきたいですね。

田中 サッカーの見方自体が、昔と今ではちょっとずつ変わってきていると感じます。ぼくらは『キャプテン翼』を見て、個人のスーパープレーに憧れていた世代ですが、今の子どもたちは『アオアシ』も見ています。戦術面を踏まえたうえで、それを打ち破る個人のスーパープレーを期待している。日本のサッカー中継では、ピッチを横から撮影することが一般的ですが、ヨーロッパには『戦術カメラ』というものがあり、ピッチを縦で撮影しています。縦で捉えると、選手がどのように動いているか“戦術”が見えてくるんです。日本でもヨーロッパのサッカーが見られるようになり、戦術を見る人が増えています。

サッカーの見方が変わってきたなかで、中継映像も少しずつ変化していく必要があると思います。試合を見ながら戦術の話ができる、そんな中継映像を目指していきたいです。

田中 中継映像のいいところは、まずはスタンドからの距離では見えない迫力が伝わること。そこに実況が入り、その競技に詳しくない人でも、今どんなことが起きているかを知ることができるところです。まだまだ深めていかなければいけないところはたくさんあります。知らない人にとってもわかりやすい中継はもちろん、地元のクラブチームを応援する地域の子どもたちが、『フォーメーションをちょっと変えた方がいいのかもしれない』『ポジションの取り方が悪いよね』など、『アオアシ』世代に向けた中継を制作していく必要があると思うんです。

近澤 最近は、日本にいながら海外のサッカーの試合が気軽に見られるようになりましたもんね。

田中 世界最高峰の試合を日本で見られるのは凄いことです。だからこそ、ぼくらも中継映像の作り方をブラッシュアップする必要があります。限られた条件のなかで、サッカーという競技の魅力をどう伝えられるか、それが最終的に日本のサッカーを強くすることに繋がればこんなに嬉しいことはないです。

中山 サッカー中継を見るとき、スマホをはじめ、いろいろなデバイスで見られるようになりました。それに伴い、試合映像を見た感想やフィードバックなどを双方向で行えるサービスも増え、テレビだけの時代にはできなかったコンテンツ制作ができるようになりました。中継映像の制作に、インターネットやクラウドサービスを取り込むことによって、これまでにない視聴体験ができるようになるのではないでしょうか。これからもフォトロンではさまざまな提案をしていきたいと思います。

中継映像・配信を通して、異なる立場からJリーグの素晴らしさを視聴者に届ける3社。
進化するスポーツ中継映像制作への期待は高まるばかりです。

最後までお読みいただきありがとうございました。


本記事は2023年6月に実施したインタビューをもとに掲載しております。最新情報とは一部異なる可能性もございます。



フォトロンは2024年4月1日付でイマジカ・ライヴを吸収合併し、イマジカ・ライヴの事業はフォトロンで継承いたします。これからも当社グループは「スポーツビジネス」領域での事業成長を推進し、スポーツ産業の発展に貢献してまいります。


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