ドラマ『RoOT / ルート』最終回直前!プロデューサーに、「このドラマは、どこかおかしい。」と聞いてみた!
こんにちは、IMAGICA GROUP公式note編集部です。
2024春ドラマで話題沸騰中のドラマ『RoOT / ルート』(毎週火曜日 深夜24:30~テレ東ほかにて放送中)は皆さんご覧になりましたか?
アニメ 『オッドタクシー』の世界から誕生した、探偵コンビが奇妙なタクシー運転手の素行調査から次第に大きな事件へと巻き込まれていく、踏み込んだら抜け出せない群像“ヒューマン”ミステリードラマです。愛嬌ゼロの先輩探偵・玲奈を演じる河合優実さんと、その後輩・凶運のポジティブ新人・佐藤を演じる坂東龍汰さんのW主演も人気を呼んでいます。
そんな『RoOT』が、6/4(火)についに最終回を迎えます…!
(まだ見ていない…という方も安心してください。Netflixにて見放題独占配信中ですよ)
IMAGICA GROUP公式noteでは4月に試写会の様子をレポートしました。このドラマの企画・原作・制作を手掛けているのは、当社グループ会社で、ジャンルを問わず新しい映像表現を追求する株式会社ピクス(以下、P.I.C.S.)。今回はP.I.C.S.の社員であり、ドラマ『RoOT』のプロデューサーである松竹 奈央さんに、このドラマの裏側をインタビューしてまいりました!
地上波のドラマとしては、どこかおかしい作り方をしている!?
――監督のSNSを拝見してインディーな作り方のもの…と伺ったのですが、どういうことでしょうか?
地上波のドラマだと、一般的には放送局がガイドラインを定めていて、制約になることもあったりするんです。例えば、「夜のシーンはなるべく少なくしてください」「二人の人物を映した後は切り返しを入れてください」など。もちろん、何十万人もの方が視聴者としていらっしゃるので当然なのですが、観る人にとって「わかりやすい」画の作り方が求められます。本作は、2021年4月から6月までテレ東で放送されたアニメ『オッドタクシー』の製作委員会から派生して、ドラマの製作委員会が発足している経緯もあり、P.I.C.S.のクリエイティブに任せていただいた裁量が大きく、エッジの効いた画作りを許容してもらえました。そういった意味で土屋監督は「インディーな」と表現しているのかもしれません。
――具体的にはどのような部分が異なるのでしょうか?
一般的な地上波のドラマだと、企画から放送までのスケジュールがかなりタイトであることが多いと思います。ドラマの放送と被りながら、撮影や編集をすることもありますし、クランクインと各話の脚本の執筆が並行していて、撮影が始まってから最終話の脚本が完成することも多いんじゃないかと。今回の『RoOT』ではクランクイン前にすべての脚本が出来上がっていましたし、放送前に全話の編集が完了していました。配信ドラマや映画では普通ともいえますが、クランクイン前に結末がわかっているので、俳優部にとっても台本の読みこみや、キャラクターづくりを徹底できることはプラスになったんじゃないかと思います。
さらに、本作は夜のシーンが多いんです。普通のドラマであれば、夕方に撮影して、カラコレ※で夜のシーンに変えることも多いのですが、『RoOT』は東京の街を舞台にした群像劇。「東京の街を活かしたい」という企画段階でのオーダーがありました。ドラマをご覧になった方はお気づきかと思いますが、シネマスコープ(以下、シネスコ)サイズで、テレビで見ると上下に黒が入っており、かなり横に長い画面サイズです。地上波のドラマではめずらしいかもしれません。このシネスコ用の特殊レンズは、光の粒が綺麗に伸びるんです。夜の街を撮る上で、非常に美しく捉えられます。アニメの『オッドタクシー』と同様に、観た人が「このドラマ、なんかおかしいな、普通じゃないな」と思ってもらえたら嬉しいですね。
※カラコレ…カラーコレクション。映画やドラマなどの制作において、映像の色彩を補正・調整する作業。
アニメを基にした実写ドラマだけど、あの空気感が見事に再現されている!?
――アニメ自体も動物たちが出てくる特殊な作りでしたが、実写ドラマにする上で苦労した点はありますか?
一番大変だった点…監督がすごく悩まれた点でもあったと思いますが、アニメ『オッドタクシー』は登場人物が多いんですよね。一般的なドラマでは、主要人物は3~4人、多くても5~6人程度じゃないかと思います。学校を舞台にしていても、メインはクラスの数人と、わかりやすく作られている作品が主流ではないでしょうか。海外ドラマを見ていて、登場人物が増えてくると、「あれ、この人誰だっけ?」と頭に入ってこないことってありませんか? 『オッドタクシー』では一人一人のキャラクターそれぞれがキーとなっているので、話の成り立ち上、登場人物を減らすことは作品の魅力をそぎ落とすことになってしまう。しかもアニメでは動物で描かれているので、キャラクターが多くても視覚的にスッと入ってくるから差別化しやすいんですよね。ただ、ドラマでは当然ながら全員人間で表さなくちゃいけない。実写にする上で、人をキャラクターとしてどう表現していくかはたいへんな部分でした。
――SNSでも話題になっていますが、アニメとの繋がりや世界観はとても通ずるものがあるように思います
そう言っていただけるのは嬉しいです。アニメを見てくださった方も、本作を面白いと感じてもらえる一つの理由として、ドラマを作ったチーム全員が、アニメをきちんと観て、理解して、実写にする上でファンを裏切らないようにと工夫したことが山ほどあったと思っています。「アニメではサルだったけど、ドラマで人が演じても、なんか雰囲気あるよね」「あのキャラクターっぽいよね」と思ってもらえるのは、役者さんの演技はもちろんですが、小道具一つだったり、衣装だったり、メイクだったり、演出、ロケーションはもちろん、各部署・各担当者一人一人がちょっとずつ積み上げていったものなんだと思うんです。その一つ一つ、スタッフの「ちりつも」の努力というか、そういうところが伝わると喜ばしい限りです。
アニメを見ていない方にも気軽に見てほしい
――これから作品を見る方にメッセージをお願いします!
アニメを見る層とドラマを見る層は少し異なると思いますが、『RoOT』は『オッドタクシー』を観てくださった方も観ていない方にも楽しんでもらえるように意識して作りました。登場人物も多いですし、30分の中に詰め込んでいるので初見の方にはわかりづらいところもあるかもしれないですが、他愛のない会話や突然起きる事件など気軽に観て楽しんでもらえると嬉しいです。群像ミステリーとなっているので、「ミステリ―? 集中して観なくちゃ」と身構えてしまうかもしれませんが、ぜんぜんそんなことなくて。気負わずにライトに見てもらえたら。
――松竹さんの好きなシーンや注目ポイントはありますか?
個人的には9話(5/28放送)が一番好きです。和田垣という三矢ユキの代わりにミステリーキッスに加入したメンバーにフィーチャーしている回です。アニメでは彼女の内面までは描かれていないので、新しい一面が見られるんじゃないでしょうか。
――ズバリ、最終回の見どころは?
アニメでは描かれていない、アニメのちょっと先を楽しんでいただければと思います。玲奈を中心としたストーリー展開となっておりますが、玲奈と佐藤、二人の主人公の最終着地にぜひご注目ください。漫画(コミック「RoOT / ルート オブ オッドタクシー」)とも違うドラマオリジナルの展開になっています。漫画も併せてお楽しみいただければ!
次回は、松竹さんがP.I.C.S.に入社したきっかけやプロデューサーの仕事をする上で大切にしている価値観などについてご紹介する予定です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事は2024年5月に実施したインタビューをもとに掲載しております。