『多様性は組織の原動力』ー世の中の多様な障がいを知ってもらいパラスポーツの楽しさを多くの方へ ー
こんにちは。IMAGICA GROUP 公式note編集部です。
IMAGICA GROUPでは、グループ横断のSDGs活動として、子供たちが「自ら考え、創造する力」を育むことを目的に、地域社会とともに体験教室を実施するプロジェクト「CREDUCATION® ACADEMY」を推進しています。
その活動の一環として、2024年11月19日(火)に、東京都港区立三田中学校の2年生を対象とした「車いすバスケットボール体験学習」を開催いたしました。
なぜ車いすバスケットボールの体験会を!?
IMAGICA GROUPのグループ会社でゲーム事業を展開するIMAGICA GEEQ(イマジカ ジーク)では、多様性を組織の原動力のひとつとして、ダイバーシティ推進に取り組んでおり、車いすバスケットボールチーム『千葉ホークス』でご活躍されているパラアスリートの植木隆人(うえきたかと)選手が在籍しています。
今回の体験学習では、IMAGICA GEEQ協力のもと、植木選手と『千葉ホークス』のチームメイトである村上慶太(むらかみけいた)選手が講師を務め、中学2年生の体育授業の中で、「車いすバスケットボール体験学習」を実施しました。
三田中学校にて「CREDUCATION® ACADEMY」の「車いすバスケットボール体験学習」を実施するのは、今回が2回目になります。植木選手と村上選手のお二人は昨年の授業内容をさらに「わかりやすく」、より「生徒さんに楽しんで」いただけるよう、バージョンアップして臨んでくださいました。
昨年の様子はこちらをご覧ください。
世の中にはいろんなパラスポーツがあることを知って、楽しんでもらいたい
●通常のバスケットボールと車いすバスケットボールのルールの違いは!?
体験会の冒頭、植木選手と村上選手から「車いすバスケットボールを通して、世の中にはたくさんのパラスポーツがあって、いろんな障がいがあることを知ってほしい。そしてそんな多様性を知って、もっとスポーツを楽しんでいただきたい」とお話があり、続いて「車いすバスケットボール」のルールについて説明されました。
「車いすバスケットボール」のルールは、基本的には通常のバスケットボールと同じですが、3つだけ異なるそうです。
①トラべリングの規定が違う
通常のバスケットボールでは、ボールを持ったまま3歩以上歩くと「トラベリング」という反則を取られますが、車いすではその規定が違うそうです。どのようにカウントするかというと、ボールを持った状態で、3漕ぎ以上車輪(タイヤ)を漕ぐと「トラべリング」の反則が取られます。車輪を手で漕ぐ動作が「歩数」と同じなんですね。
②ダブルドリブルがない
通常のバスケットボールではドリブル中にボールをホールドし、再びドリブルをすることは禁止されています。ただ、車いすバスケットボールでは、一度止まってしまうと、なかなか動き出すのに時間がかかったり、障がいによっては体の向きを変えることが困難な選手もいます。ダブルドリブルのファウルを取っていると試合の中断が多くなりテンポも悪くなるといったこともあり、この反則は適用されないことになっているそうです。
③障がいのレベルによるクラス分けがある(持ち点制度)
車いす 椅子バスケットボールをしている選手は、車いすに乗っているから皆さん同じ程度の障がいを持っているんだろうと思われるかもしれませんが、実は人それぞれ障がいの重さが違います。
ちなみに村上選手は「1点」、植木選手は腹筋の機能があり「2点」が持ち点となっています。もしお二人が同じチームでコートに出る場合、残り3人の合計が11点以内になるように組み合わせる必要があります。
また、競技用の車いすは、日常的に使う車いすと違いがあることも説明してくださいました。
競技用の車いすはタイヤがハの字になっていることで、クルクルと回転しやすくなり、早い動きや激しいプレーが可能です。足元付近に「バンパー」というパーツが設置されており、ぶつかったときの衝撃などにも耐えられるようになっているんだとか。さらに後部にはキャスターがついていて、重心が後ろにかかったときの転倒を予防します。といっても試合中に転倒することは日常茶飯事だそうで、自分で起き上がらなくてはならないそうです。
●実際に競技用車いすに乗ってみよう!
競技用車いすに試乗。生徒さんはレーンをまっすぐ進み、端に置かれたコーンのまわりをグルっと1周して戻ってくる、という体験を。左右にある車輪を同じタイミングで同じ力で漕ぐことが求められます。ターンは回る方向とは逆の車輪だけを漕ぐことで可能になります。コーンに接触せず回るのは難しい…!? 器用に操作する生徒さん、コーンに激突し苦戦する生徒さんと反応はさまざまです。休憩時間に編集部の私も試乗させてもらいましたが、「結構酔う…」というのが感想。これは意外な盲点でした。
●いざ、「車いすバスケットボール」試合にチャレンジ
皆さんが試乗した後は早速実戦へ。5人対5人で始めます。植木選手と村上選手もそれぞれのチームにサポートとして参加。今回は「体験会」ということでトラベリングは言及せず、膝の上にボールを載せたままのボール運びも可としました。
車いすに乗った状態でのパスやシュートを決めるのはなかなか難しそうです。それでも適応力が高い生徒さんたち。白熱した試合が繰り広げられ、なんとブザービートを決めたチームも!観戦する側も盛り上がり、皆さんの楽しそうな姿が印象的でした。
●試合の後は、選手への質問タイム
「車いすバスケのことはもちろん、それ以外に車いす生活のことやプライベートなことなど、なんでも質問してください!」と、とてもフレンドリーな植木選手と村上選手。
生徒さんからは「いつから車いすバスケを始めたんですか?」「家の中ではどうされているんですか?」「お風呂はどうやって入るんですか?」などたくさん質問が飛び交います。
ーいつから車いすバスケを始めたんですか?
植木選手「15歳で交通事故に遭って車いす生活になったのですが、バスケは事故から4年後の19歳からはじめました」
村上選手「19歳、専門学生のときに同じく交通事故で車いす生活に。それまではみんなと同じように歩いたり走ったりしていたんですよ。車いす生活になったものの、スポーツがやりたい!と思って当時一番モテそうだった車いすバスケを始めてみました」
植木選手「わかる。女子にモテると思ってね。モテなかったんですけど(笑)」
ー好きな食べ物は?
植木選手「お肉です」
村上選手「カツカレー」
ー試合中にケガをして休むことはありますか?
「たくさんあります。ケガをしないように配慮はしますが、試合中ヒートアップして車いす同士ぶつかって、吹っ飛んでしまうことも多々あります。それでも試合は中断されないので、自分で起き上がって車いすに乗って戻らなければなりません。転ばないように鍛えるか、転ばないように工夫するかを考えないと、ただ転んでケガして(シーズンが)終わってしまいます」
ー競技用の車いすから日常の車いすに乗り換えるのはどうするんですか?
「腕の力だけで横にスライドして乗り換えます。
車いす生活になったとき、3~6か月くらいかけてリハビリをします。自分だけの力で乗り換えられるようになって、そこで初めてやっと一人で外出することができるようになります。そうしないと、万が一外で転んでしまったときに、一人で起き上がることができないですから」
●三田中学校の先生からのコメント
実際に選手が来て講師をしていただけるということで、授業前から多くの生徒が興味を示していました。1on1のデモンストレーションでは、選手が転倒する場面をつくってくださり、その場面が起きると、生徒たちからは思わず声が出ておりました。選手が立ち上がる姿をみて、競技の激しさや選手の逞しさを感じることができたようです。体験を通して、難しさを感じながらも、生徒たちはパラスポーツの楽しさを味わえた1時間でした。
貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。
●参加した生徒さんの声(一部ご紹介)
「最初は車いすに乗りながらバスケをするなんて難しいと思いましたが、実際にやってみたらとてもおもしろかったです」
「パラスポーツへの理解が深まりました」
「サインをいただいたので、家のリビングに飾ります!」
●さいごにお知らせ
車いすバスケットボールのクラブチーム日本一を決める天皇杯・日本車いすバスケットボール選手権大会の第50回記念大会に、植木選手、村上選手が所属する『千葉ホークス』が出場します!
2025.01. 31(金) - 02. 02(日)、代々木の東京体育館で開催されますので
ぜひ応援に行きましょう!!
お二人ともとても明るく爽やかなお人柄が印象的でした。車いすバスケットボールの観戦も非常に面白かったです。1月の天皇杯でのご活躍に期待しています!
港区立三田中学校のみなさま、関係者のみなさま、ご協力いただきありがとうございました。
今後もサステナビリティ関連の情報をこちらのnoteでも更新していく予定ですのでお楽しみに。
最後までお読みいただきありがとうございました。
協力:株式会社IMAGICA GEEQ
会場:港区立三田中学校
講師:植木隆人選手、村上慶太選手
CREDUCATION® ACADEMY(クレデュケーションアカデミー)とはCreativeとEducationをかけ合わせた造語です。
「CREDUCATION」はIMAGICA GROUPの登録商標です。
植木隆人選手のプロフィールは以下リリースをご参照ください